映画化でも話題! 世界中で段ボールを拾い集め、財布を作るアーティストの旅の記録

2/12(火) 6:10配信

「サインが書かれたりシールが貼られたりして海の向こうからやって来る。そうした段ボールのストーリー性に惹かれるんです」と語る島津冬樹氏

青果物や飲料、日用品などの梱包手段として使われる段ボール。使い終わったら捨てられ、再利用されるのが一般的だ。だが、そこに新たな命を吹き込み、さらなる価値を生み出すアーティストがいる。

『段ボールはたからもの 偶然のアップサイクル』の著者である島津冬樹氏は、世界中で拾い集めた段ボールから財布を作る、唯一無二の"段ボールアーティスト"だ。

彼の活動は、今やアートとエコの両観点から世界中で注目されており、昨年末には映画化もされ話題に! いかにして、彼は段ボールに魅せられたのか。世界各国の段ボールで埋め尽くされた自宅兼アトリエで、じっくり話を伺った。

* * *

――世界中で段ボールを拾い集めて9年。きっかけは何だったのでしょう。

島津 美大生時代に、使っていた財布がボロボロになってしまい、買い替えるお金もなかったので家にあった段ボールで財布を作ってみたんです。すぐに壊れるかと思ったら、1年以上も使えて、とても優れた素材だと感心しました。

段ボールを収集するようになったのは、観光で訪れたニューヨークがきっかけです。日本とは違う色彩豊かな段ボールに驚き、「世界中の段ボールを見たい、集めたい」と思うようになりました。

――そこから段ボールの収集や財布の制作が始まったと。どこに惹(ひ)かれたんですか?

島津 まず、ストーリー性があるところですね。海の向こうの遠い国から運ばれてくる段ボールをよく観察すると、手書きのサインや貼られたシール、底についた土などの"あしあと"があります。

見知らぬ土地の空気を吸い、いろいろな人の手を渡り、どんな旅をして日本にやって来たのか。想像するとワクワクします。それだけ大変な思いをして届けられた段ボールも役目を終えると捨てられてしまう。そうした儚(はかな)さにも惹かれます。

――新品ではなく、できるだけヤレている方がグッとくると。

島津 そうです(笑)。あとは箱の文字やイラストのデザインです。段ボールの外側のデザインは20年くらい前から変更のない、ひと昔前のレトロなデザインが残っていることが珍しくないんです。

今は洗練されたデザインの段ボールが増えてきましたが、古くから続く生鮮食品の段ボールのデザインには生産者さんやデザイナーさん、産地の思いが込められていて、温もりを感じます。デザインの"向こう側"にある思いを読み解くのも楽しいんです。

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