「イッテQ」やらせ疑惑 “ない”ものを“ある”が最大の問題

宮川大輔に問題はない(C)日刊ゲンダイ

コラム【芸能界クロスロード】

「くだらないことを一生懸命やるから価値が生まれるんだよ」

 漫画家の赤塚不二夫氏が口癖のように言っていた言葉である。「天才バカボン」など数々のギャグ漫画をヒットさせたが、「大人がくだらないことをやって」とバカにされることもあった。それでも一心不乱にバカなことを考えて生まれたのが赤塚ギャグだった。日テレ系の看板番組「世界の果てまでイッテQ!」はまさに赤塚ギャグのような異色のバラエティー番組。イモトアヤコ、出川哲朗らが一生懸命、真面目に「くだらないこと」に挑戦する。その真剣さは画面からも伝わり、視聴者は笑いと感動に包まれる。トーク中心のバラエティーとの違いは、“イッテQ”は中高年層ファンも多い。

「『どっきりカメラ』や『風雲たけし城』などタレントが真剣にバカげた企画に体を張り挑戦する姿が受けた時代を『イッテQ』は引き継いでいる。中高年はそんな昔の番組を懐かしむように楽しんでいる」(テレビ関係者)

 他局がマネできないオリジナル番組作りは日テレのお家芸だが、「イッテQ」にヤラセ疑惑が発覚した。名物企画のひとつ、芸人・宮川大輔(写真)の「“世界で一番盛り上がるのは何祭り?”をデッチ上げた」と文春が報じた。5月に放送したラオスの「橋祭り」。泥水の上にかけられた細い橋の上を自転車で渡るという祭りらしい。当然ながら落下続出。体中ドロだらけ。「ラオスにはこんな祭りがあるのだ」と驚きも含めてお茶の間は爆笑。企画は大成功だったはずだが、文春は3週間に及ぶ現地取材から「ヤラセ」と指摘。日テレ側は「橋祭りを毎年、行われているような誤解を招いた」と謝罪するも全面的なヤラセは否定した。東国原英夫がテレビでいみじくも言った。80年代は「ヤラセは当たり前でした」と――。

 バラエティーにヤラセは付き物。視聴者もわかった上で見ている。文春も「ヤラセ」を大々的に問題視しているわけではない。タイトルの「デッチ上げ」通り、「そんな祭りは聞いたことない」と祭りそのものが「ない」という多くのラオス国民の声が重要。この企画は「よその国にはこんな祭りがある」という驚きも見どころなのに、「ない」ものを「ある」としていることが一番の問題点。「ない」のに「ある」ようにするにはヤラセが必要となる。宮川は「知らなかった。調べて欲しい」と文春に訴えているように、タレントに問題はない。すでに100回を超える企画。宮川が体を張って挑む世界の祭りもそろそろ限界の時期だろう。「ない」祭りを「ある」とすれば無理をしなければならない。番組打ち切りや司会の内村光良が責任取って降板する必要もない。世界の祭り企画を終わらせて、また宮川が体を張って挑戦する企画を再開すればいいだけの話だと思う。

(二田一比古/ジャーナリスト)

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