ナメてはいけない「暑さ指数」――災害級酷暑を生き延びるための基礎知識

7/31(火) 7:00配信

 7月23日午後2時過ぎ、埼玉県熊谷市では国内観測史上最高となる気温41.1℃が観測されました。その夕方には気象庁が緊急会見を開き、「気温が高い状態は8月上旬にかけて続き、熱中症で命を落とす危険性もある」「1つの災害と認識している」と異例の注意を呼びかけました。

【グラフ】部活動でいちばん熱中症が発生しやすいのは……

消防庁「熱中症対策リーフレット」より

熱中症には脳機能障害や腎臓障害が残る可能性も

 もはや説明は不要でしょうが、熱中症は「命を落とす危険性」があるだけではなく、生涯にわたって脳機能障害や腎臓障害が残る可能性もある、恐ろしい症状です。暑さがピークを迎える時間帯にはなるべく外に出ない、最低気温が30℃を超えるような日は就寝中もエアコンはつけっぱなしにするなどの対策が不可欠です。熱中症が疑われる場合の応急処置についても、たとえば消防庁のHPではリーフレットをダウンロードできますし、ほかにもさまざまなサイトで紹介されています。

 ところで、このところテレビの天気予報などでは、気温や湿度のほかに「暑さ指数」の予想値が表示されています。環境省は2006年から暑さ指数を発表しているのですが、記録破りの酷暑にあってこの数値がひときわクローズアップされるようになってきました。

気温と指数が同じ単位「℃」という分かりにくさ

 暑さ指数28℃以上で「厳重警戒」、31℃以上で「危険」といった指針も広く知られるようになりましたが、単位は同じ「℃」なのに気温と数値が違うため少しわかりにくく、「よくわからないけど暑いんだろう」くらいに受け止めている人もまだまだ多いのではないでしょうか。

 ひとまずはこの指針を鵜呑みにするだけでも、何も気にしないよりは遥かに熱中症予防にはなります。でも、暑さ指数の仕組みを大まかに理解すると、熱中症のメカニズムや注意すべきポイントもよくわかります。

気温だけに注意していても熱中症は防げない

 「暑さ指数(WBGT)は Wet-Bulb Globe Temperature の略称で、湿球温度計、黒球温度計、乾球温度計の測定値に……」といった説明は、ここでは割愛します。「何が暑さ指数を決めるのか」から始めましょう。

 暑さ指数は「気温」「湿度」「輻射熱」の3つ(正確にいえば風の影響も含みます)で決定されますが、その影響の比率は以下の通りです。

 とかく「気温」の高さに注目が集まりがちですが、実は「湿度」の高さがより暑さをもたらすことがわかります。さらに地面や舗装道路、建物の表面などから遠赤外線の熱線により伝わる「輻射熱」の影響も、気温よりも高く設定されています。そもそも太陽が地球を温めるのも輻射熱の働きですし、アスファルトからの照り返しを思い浮かべればこの比率も納得できるのではないでしょうか。

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