新たな一歩を踏み出すポケモン映画――史上初、監督のバトンを渡された矢嶋哲生は何を受け継ぎ変えていくのか

矢嶋哲生とポケモンの関係

―― 今作では映画「ポケットモンスター」シリーズで、これまで監督を務めてきた湯山邦彦さんから代わり、新監督となりましたね。もともとポケモンはご覧になっていましたか?

矢嶋哲生(以下、矢嶋) 実を言うと、そんなに見てなかったです(笑)。僕、小さいころに柔道をやっていて、放送日はちょうど練習の日で見られなかったので。

―― 練習に励んでいたんですね。湯山さんとの出会いはいつごろだったのでしょう。

矢嶋 2013年放送のテレビアニメ「ポケットモンスター XY」で監督を務めたんですが、その前作「ポケットモンスター ベストウイッシュ」にも携わっていて、そのときに初めてお会いしましたね。

―― 「XY」のときは28歳の若さで監督に抜てきされました。それまでのシリーズから変えた部分などはありましたか?

矢嶋 1番分かりやすいところで言うと、作画枚数が増えました。それまで、バトルシーンとかは、流背(流線背景)を使っていたんですけど、その場の風景を切り取って実際に戦っているような臨場感を出す演出方法に切り替えました。あと、CGもたくさん取り入れたので、アクションを派手にすることができたと思います。

―― 作画だけでなく、「ポケットモンスターXY&Z」の最終話ではヒロインとのキスシーンもあるなど、脚本にも感動的な驚きがあった印象です。

矢嶋 キスとは公言していませんけどね(笑)。もともとOLMのプロデューサーが「サトシとの恋仲って面白いよね」って言い始めて物語が進んでいったんですけど、シナリオでは普通に「じゃあね」と別れていたんです。でも旅立つセレナになんか贈ってあげたいな、普通に別れたんじゃセレナに申し訳ないという気持ちが僕の中にあって、あのシーンを入れました。

―― ちなみに、当時苦労したことなどはありましたか?

矢嶋 どうですかね、4年も前なのであんまり覚えてないですけど(笑)。でもスタッフなどは全員僕より年上だったので、気負う部分はあったかもしれないですね。

―― その後、ポケモン映画第20作目となる2017年の映画「劇場版ポケットモンスター キミにきめた!」では副監督を務めています。作品にはどのような形で関わりましたか?

矢嶋 絵コンテをやらせてもらいました。アクションはほとんど僕が。

―― それは「XY」での反響があったから?

矢嶋 副監督を任されたいきさつは知らないので何ともいえませんが、そのころから来年は僕に受け渡すと聞かされていたので、映画の作り方だったり、監督としての立ち振る舞いだったりを湯山さんの後ろで学ばせてもらいました。

―― 20作目では、アニメシリーズの原点が描かれ、また新たな旅が始まる姿が描かれました。それは21作目に矢嶋さんが監督を務めることと関係あるのでしょうか。

矢嶋 そうですね。湯山さんは最初から、サトシの旅立ちをいつかやろうと構想されていたみたいなので。

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