平成という時代を生きた30歳に独占直撃!【さらば平成!第3回】ボートレーサー中田竜太「ボートの世界は甘くはなかった」

7/12(木) 15:03配信

今年度30歳を迎える黄金世代にいるボートレーサー・中田竜太

公営競技で戦う選手は、試合期間中は外部との接触が一切断たれる。選手宿舎には、携帯電話はもちろん通信機能を備えた機器の持ち込みも厳禁だ。

【画像】今年度30歳を迎える黄金世代にいるボートレーサー・中田竜太

「最近はゲーム機も音楽プレイヤーもネット機能ついてるじゃないですか? なので、試合期間中の娯楽といえば雑誌です。試合前に買い込んで選手のみんなで回し読みしたりするんですよ。僕、『週刊プレイボーイ』いつも買ってます」

今年度に30歳を迎える"黄金世代"の半生と共に平成をふり返る連載企画 『さらば平成!』。第3回のゲストである、気鋭のボートレーサー・中田(なかだ)竜太(A1級)が『週プレ』をめくっている。

「あ、これ好きなんですよね。毎週読んでます」

爽やかな笑顔で指さしたページは、グラビアやスポーツワイドではなく、OLの恋愛体験コラム。とらえどころのない男だ、という印象はインタビュー前の雑談から始まっていた。

* * *

「まだ息子が小さいので、妻とのやりとりは苦労しますね。冷蔵庫にメモ貼ったりとか、アナログな方法が意外と役に立つんです」――2歳の愛息子を抱える中田はそう言って鮮やかな金髪をなでた。彼の妻、亜理沙夫人も競艇選手として日々全国を転戦している。

車輪の歴史は浅い。南船北馬(なんせんほくば)という言葉が示すとおり、歴史の大部分において人の手による移動機関とはすなわち「船」。神話の時代より、人類はオールを漕ぎ帆に風を受け地球上を駆け巡った。アメリカ大陸、南極、そして月。われわれの祖先は船と共に未踏の地を切り開いてきた。

決してメジャー競技とはいえないボートレースだが、水上を飛ぶように疾駆するスピード感、一瞬で順位が入れ替わる鋭いターンはひと目で観客の心を鷲(わし)づかみにする。人の遺伝子には皆、船を駆り海原へ漕ぎ出した太古の記憶が刻まれているに違いない。

「いや、どうでしょうかね。正直、小さい頃はそこまでボートレーサーになりたいとは思ってなかったんです。競艇見て『カッコいいなあ』とは思ってましたけど、(地元の)福島には競艇場もなかったですし」

まあ子供の感想ってそんなもんですよね、と言いながらライフグラフを淡々と書き入れていく中田。気勢を削がれた筆者は、穏やかな水面のように凪(な)いだグラフに視線を落とした。ペンを握った右手はほとんど平行に保たれていた。

2009年デビュー。17年「まるがめ65周年記念大会」でのG1制覇を皮切りに、「蒲郡(がまごおり)ヤングダービー」、今年の「戸田プリムローズ」とG1で優勝3度を誇る若き逸材が中田竜太だ。甘いマスクで女性ファンも多く、ボートレース界きっての期待の星として注目されている。オートレーサーとして活躍した父の血を引く中田だが、才能の覚醒は存外遅かった。

「幼少期はオートレースに魅力を感じることもなかったですね。オートに限らず、熱中する趣味もありませんでした。それほど運動が得意なわけでもなかったんですが、体が小さく痩(や)せていたので『競艇向きの体形なんじゃない?』って親に言われ、なんとなく『じゃあ、ボートレーサーにでもなろうかな』って思っていたぐらいで」

「昔からすごく飽きっぽくて。勝負事で負けてもあまり悔しがらない...そんな子供でしたね」。訥々(とつとつ)と中田は言葉を継いだ。彼のプロフィールの多くは「趣味:なし」「特技:なし」と記されている。われわれ一般人が思い描く、バイタリティあふれたアスリート像から程遠い印象は、言葉を交わすにつれ強くなっていく一方だった。

「だって僕、ゆとり世代ですからね」

そう言ってはにかむ中田だが、そんな"世代分け"がレッテルにすぎないことぐらい知っている。何より、競艇選手になるためには養成所「やまと学校(現・ボートレーサー養成所)」入学試験に合格しなければならず、倍率は30という狭き門だ。「競艇向きの体型だから」という理由だけで受かるほど甘くはない。

「確かに全然甘くなかった。初めて受けたときは高校生のときだったんですが、見事に落ちました。『やまと』の入学試験は半年に一度なんですが、毎回特に準備もせず、ただ試験の日が来たら受ける...の繰り返し。当然落ち続けましたよね」

中田は初受験から4回続けて不合格となっているが、倍率の高さ、そして当時の彼のモチベーションを想像するに当然の結果といっていいだろう。

「...ただ、5回目のときは違いました。このときは真剣に臨んだんです」

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