「クロマティの幻影」と戦った“笑わない男”ブラッドリーの生きざま

7/12(木) 11:00配信

「根暗」「チームに溶け込めてない」と揶揄されたブラッドリー

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【出場者プロフィール】南別府 学(みなみべっぷ・まなぶ) 東京読売巨人軍 37歳
 東京都出身。松坂世代。初の野球観戦で原のホームランボールが直撃……しそうになったことがきっかけで巨人ファンに。達川のコンタクトレンズを探したり、ガルベスが審判に向かってボールを投げないか心配しているうちに時は流れ、気がつけば中年間近。しかし年齢を重ねても、あの日見た原のホームランを忘れることはない。普段は「南別府学」の名で主に競馬についてのブログやツイートをしている。ツイッターIDは@20bepp_kita_20

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「笑ってあげなさい。笑いたくなくても笑うのよ。笑顔が人間に必要なの」(マザー・テレサ)

 マザー・テレサの言葉は彼の耳に届いていただろうか。

 1991年。陽気で人気者だった最強助っ人・クロマティの穴を埋めるべく、メジャー通算1058安打の実績を引っ提げて鳴り物入りで巨人軍に入団したフィル・ブラッドリー外野手。

 彼の笑顔を覚えているファンは多くはないだろう。なぜなら彼はほとんど笑わなかったからだ。

 クロマティなら満面の笑みでバンザイを連発する場面でも、彼は若干口角を上げる程度。その微妙な笑みは、当時小学生だった私にとって子供心にも不気味にさえ思えた。たとえ笑いたくない時でも笑っておいた方が人間関係が円滑になる……そんなコミュニケーションにおける小手先のテクニックには全く興味がない様子だった。開幕戦初打席初本塁打という華々しいデビューを飾りながらも、前年まで在籍したクロマティと常に比較され続け、「根暗」「チームに溶け込めてない」と揶揄された不運の男。そんな彼のイメージを決定付けた“事件”があった。

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