「安倍三選」を左右する“唯一のリスク要因”小泉進次郎の動向

7/10(火) 7:00配信

「選挙っていうのはね、勝つと負けるとでは大きな違いなんですよ。勝ったのは大きいですね」

【写真】2012年総裁選での小泉進次郎

 6月20日夜、客単価4万円は下らないという東京・銀座のステーキ店「かわむら」で、最高級の肉をほおばりながら、首相の安倍晋三は、饒舌に語った。「選挙」とは、10日前に投開票された新潟県知事選のこと。与党が推す候補が初当選した。

 席を並べたのは、財務相の麻生太郎、自民党幹事長・二階俊博ら、秋の総裁選で三選を目指す安倍を支える麻生派と二階派の幹部たち。安倍の出身派閥の細田派を加えたこの三派には、降ってわいた知事選の前後で、永田町の景色が、全く違って見えていた。

総裁選三選を目指す安倍首相 ©文藝春秋

安倍が「選挙の顔」になり得るかの試金石

 前新潟県知事の米山隆一が週刊文春による「買春」報道で4月18日に辞任を表明。自民は二階の運輸相時代に秘書官だった前海上保安庁次長の花角英世を擁立。かたや野党は女性県議を立て、与野党対決型の選挙戦になった。

 安倍自身や妻・昭恵に端を発した森友学園や加計学園の問題で内閣支持率が低落傾向にあるさなかだったこともあって、国会会期末が迫る6月10日に設定された知事選は、政権にとっての中間選挙の様相を帯びた。特に来夏に改選を迎える参院議員にとって、傷ついた安倍が、それでも「選挙の顔」になり得るかの試金石だった。

 実際、この間、参院側には不穏な動きがあった。加計学園をめぐる愛媛県の文書の国会提出を野党が求めたのに対し、参院自民は、あっさり受け入れた。提出された文書には、安倍が「そういう新しい獣医大学の考えはいいね」と語ったとされる記述があり、その後、安倍は国会答弁で苦しんだ。総裁三選に向けて野党の追及を避けたい安倍や官房長官の菅義偉が早期の国会閉会をもくろむ中、定数を6増する参院選挙制度改革案を唐突に打ち出し、国会延長を主導したのも参院自民だった。

 参院自民の中核は竹下派だ。裏には引退して、なお影響力が残る元党参院議員会長の青木幹雄がいる。青木と一心同体ともいえる党総務会長の竹下亘は、安倍のライバルである元幹事長・石破茂とも関係が深い。その竹下は「安倍さんが引き続き総理になるか。『はい、その通り』とは即答しかねる」と繰り返す。「知事選で負ければ、参院側が反安倍で動き出しかねない」との疑心暗鬼が広がっていた。

 果たして結果は自民が推す花角が当選。決め手は、大票田の新潟市内で約1万8000票の大差をつけたことだ。党職員は言う。「二階派秘書軍団のローラー作戦が大きい。国政の補選の比ではなかった」。二階の政治の師である元首相の田中角栄のおひざ元で繰り広げた、角栄さながらの人海戦術の勝利だった。

「これで安倍三選は決まった」。三選に期待する議員の間では、すでに総裁選の勝負は決したかのような空気が広がる。ステーキ店の宴は、安倍にとっては、中間選挙をまとめてくれた二階に対する慰労の場にもなった。

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