「誰かあ、救急車ーッ!!」 有名ブロガーHagex氏は、なぜ殺されなければいけなかったのか

7/8(日) 21:00配信

凶行の現場となった施設 ©共同通信社

「誰かあ、救急車ーッ!!」

 トイレ前からの叫び声に人が集まると、上半身十数カ所を刺された男性が、シャツを真っ赤に染めうつ伏せに倒れていた。付近の女性が救命を試みたが脈は途絶していた。

 6月24日夜、福岡市内の施設に講演に訪れていたインターネットセキュリティ会社「スプラウト」社員の岡本顕一郎さん(41)が刺殺された。社会部記者が語る。

「逮捕された無職の松本英光容疑者(42)はトイレ内で岡本さんをレンジャーナイフで後ろから執拗に刺し、頸動脈の傷が致命傷でほぼ即死だった」

 岡本さんはスプラウトではネットメディア編集長を務めていたほか、特定のソフトを使用しないと閲覧できないネットの深層領域(ダークウェブ)を調査していた。

「ネット上の闇市場に自ら入り、顧客企業から流出した情報が違法に取引されていないか、また実際にハッカーと対話しサイバー攻撃の兆候がないかなどを調べていました」(同社の高野聖玄代表)

 一方で、一部ネット利用者の間で有名だったのが、事件の端緒ともなったブロガー「Hagex」としての顔だ。

「有名人や悪徳業者を扱った“ゲスいネタ”が好きで、ネット炎上をウォッチしネタにしていた。一方、利用していた『はてなブログ』では、松本容疑者が複数人に『今すぐ死ね』『ゴミクズ』『低能』と罵詈雑言を投げかけていたことから『低能先生』と呼ばれ、運営側も通報があるとすぐ削除していた。岡本さんもこの男を『威力業務妨害で訴えるべき』と呼びかけていた」(岡本さんの知人)

 このことが松本容疑者の犯行動機となったと言われているが、岡本さんと交流のあったMiTERUのおおつねまさふみ代表はこう語る。

「岡本さんは普段から名誉毀損や営業妨害になりそうな表現は慎重に避けていた。有名人をネタにして悪趣味との声もあったが、無論殺されるほどではない。容疑者は無職となった数年前から誹謗中傷の投稿が増え、サイト運営者を狙っていた。たまたまその地元に岡本さんが告知のうえ来たことで標的になった」

 職場では「穏やかで、新人を食事に誘ったりする気遣いがあった」(高野氏)という岡本さん。通夜では妻が号泣していたという。事件は、紛れもないリアルの世界で起きた。

「週刊文春」編集部

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