「衛星放送協会オリジナル番組アワード バラエティ番組部門最優秀賞」 番組プロデューサーインタビュー「マキタスポーツさんとスージー鈴木さんが本気で泣くんです!」

7/5(木) 22:03配信

ワールド・ハイビジョン・チャンネル株式会社 編成・営業本部 編成部 高橋良美プロデューサー

2017年度にBS・CS(有料多チャンネル)で放送されたオリジナル番組の中から、優れた番組・企画を表彰する「第8回衛星放送協会オリジナル番組アワード」。オリジナル番組賞部門の1つであるバラエティ番組部門で「ザ・カセットテープ・ミュージック『A面に入れたいサザンの名曲』」(BS 12トゥエルビ)が最優秀賞を受賞した。

番組について熱く語る!

カセットテープで聴いた1980年代歌謡の魅力を、マキタスポーツと音楽評論家スージー鈴木が音楽理論にまで踏み込んだ鋭い洞察力で分析し語りつくす、別名「音楽ずきおじさんたちの解放区番組」。同番組のプロデューサーであるBS 12トゥエルビの高橋良美が番組への思いや裏話を語った。

■ ――どのようなきっかけで番組作りをスタートさせたのでしょうか?

スージー鈴木さんが出演する「1980年代歌謡曲」のトークイベントに行った当社のスタッフが、その明晰かつ痛快な語り口に感銘を受け、「こういうトークを全国放送の番組にしても面白いのでは?」と番組化の構想が始まりました。そしてカセットテープを使った番組企画を温めていた私も参加し、企画を一気に仕上げました。

BS視聴者のメインが60代、もしくは70代なので、1980年代歌謡曲に絞り込むことで、もう少し若い40~50代の心を掴めるのではないか。さらに1980年代を知らない世代でも、スージーさんとマキタスポーツさんの2人が、ヒット曲の気持ちの良さを鮮やかに説明していくさまに、「そういうことだったのか!」と納得してもらえるのではないかと考えました。

■ ――マキタスポーツさんをキャスティングされた理由は?

私がもともとマキタさんのラジオ番組をよく聴いていたんですが、それがとても面白くて、私もそういう番組をいつか作りたいと思っていたんですね。ですからスージーさんと一緒に音楽分析ができる人は誰だろうと考えた時に、マキタさんが真っ先に頭に浮かびました。しかも既にマキタさんは「すべてのJ-POPはパクリである」という音楽分析の本も出されていたので、まさにうってつけだと思って出演依頼したところ、快諾していただきました。

■ ――マキタさんとスージーさんは絶妙のコンビネーションですが、これまでにもお2人の共演はあったのでしょうか?

2人は以前、歌謡曲を分析するラジオ番組で共演されています。また、私たちがオファーしたのとほぼ同じタイミングでスージーさんが初期サザンオールスターズの分析本を出されて、その刊行記念イベントでスージーさんとマキタさんのトークイベントがありました。おそらく共演はそのくらいではないでしょうか。テレビ番組での共演は今回が初めてとなります。

2人とも音楽をコード進行で見るなど極めて構造的に捉えています。お互い孤独にやっていた音楽分析を、やっと分かち合える人ができたといった感じで、収録現場ではいつもいちゃいちゃしていてとても仲がいいですよ(笑)。

ちなみに、今日(取材を行った6月25日)はサザンオールスターズのデビュー40周年の記念日です。40年前の6月25日にサザンオールスターズが「勝手にシンドバッド」でデビューした日で、スージーさんは、「日本のロック記念日だ」って勝手に言っていますけど(笑)。

■ ――昔の音楽について、高橋さん自身はどう思われますか?

私が1980年代をリアルタイムではあまり知らない世代なので、2人の分析に関しては、お任せというか、だいぶほったらかしにしています(笑)。でも、もともと私は音楽が好きで、この業界に入って最初にADとして関わったのが“懐かし系“の音楽番組だったんです。そこでかなり昔の音楽を知り、素敵だなと感じることができました。3年間関わりましたが、音楽番組にはもう一度どこかでチャレンジしたい、そこに視聴者の音楽的見方を拡張させられる要素も盛り込められたらいいなと思ってきました。

■ ――「若者切り捨て番組」とマキタスポーツさんがおっしゃっていますが、ターゲットを限定した番組なんでしょうか?

1980年代に限定してマニアックな見方をしていますが、実は多くの人に向けて作っている番組なんです。1980年代の歌謡曲が素晴らしいということを伝えたいのはもちろんですが、曲に隠された音楽的仕掛けにも踏み込んで、その理由を分析していくというところまで私たちは伝えていきたい。そういったところまで踏み込むと、20代の人でも30代の人でも面白いと思いますし、また1980年代の歌謡曲だけでなく、1970年代の洋楽でも、1990年代の小室哲哉さんの音楽でも同様にできると思うんです。

■ ――音楽番組としてだけではなく、バラエティーとしても楽しめるような番組作りを意識していますか?

はい、意識しています。マニアックなことをやっていても、万人が面白いと思える番組にしたいとディレクターともよく話をしています。ですから懐かしさだけが中心になるテーマは選ばないよう気をつけています。「時代を知っているから面白い」だけでは若い世代は弾き出されてしまいますから。たとえその時代を知らなくても面白くなるような番組作りを一番心掛けています。

■ ――台本はあるのですか?

テーマと大筋の流れだけ演出側で決めて、曲選びや音楽分析で何をしゃべるかは安心して2人にお任せしています。宿題が多い番組でもあるんですが、テーマに沿ってよく予習をして来られます。ですから2人ともとにかくよくしゃべりますね。打ち合わせでもしゃべり、本番でもしゃべり、収録後でもしゃべりまくるんです。2人で音楽の話ができるのが楽しくてしょうがない感じなんですよ。ある時、本番でしゃべりすぎて、放送枠に収まらなくなってしまったんですが、それをマキタさんが「ノーカット版でやろうよ」と言い出して、急遽、1時間の特番を作ったこともありました(笑)。

■ ――視聴者の反応はどうですか?

SNSで選曲予想をしてくれたり、「スージーさんなら、マキタさんならこういう風に話すだろう」といった答え合わせを楽しんでくれていたり、好意的な声が多いです。音楽を流す時にすぐには曲名を出さないので、イントロクイズ的な楽しみ方をしているという声もありますね。批判的な声はほとんどなくて、それはきっと2人の人格のおかげかなと思っています。

■ ――今回の受賞の感想をお聞かせください。

マキタさんもスージーさんもとても喜んでいました。マキタさんはテレビ番組で賞をもらうのは初めてだそうです。音楽の批評というのはマキタさんが長年やってきたことですから、それが番組となり評価されたことに喜びを感じていらっしゃるのではないでしょうか。これはマキタさん、スージーさんだったからこそ実現できた番組で、彼らじゃなかったらここまでの支持は集まらなかったと思います。2人の音楽研究の蓄積に、私はリスペクトしかありません。その蓄積されたものを人の目に触れさせることに私も貢献できたかなと、そして表彰されるという栄誉をいただけたことで2人にも恩返しができたかなと思います。

■ ――そんなお2人に要望はありますか?

要望というか、ちょっと泣きすぎなんですよね(笑)。毎回泣くんですよ。なんでそんなに泣くんでしょうね。THE BLUE HEARTS(ザ・ブルーハーツ)とか聴きながらすごく泣くんです。演出じゃなくて本気で泣くんですよ(笑)。元アイドリング!!!の女の子たちがリレー形式で出演していて、おじさん2人が泣いている姿を引いて見ているんです。またそれがいいんですけどね(笑)。

■ ――6月には「カセットテープ少年時代 80年代歌謡曲解放区」として本も発行されましたが、書籍化に至った経緯は?

番組の企画の段階から2人のトークはテレビ番組だけではなく、活字やライブなど多面的な展開が可能だと考えていました。実際に出版社の方にもスタート当初から興味を持っていただいて書籍化が実現しました。書籍の発行記念トークライブも大盛況でした。

■ ――高橋さんがこの世界に入ったきっかけは何だったんですか?

私はテレビが好きで、中学生の頃からテレビ関係の仕事をしたいとずっと思っていました。テレビというのは誰でもアクセスできる最強のメディアだと思いますし、誰もが見て笑えたり救われたりすることはとても素晴らしいことなんじゃないでしょうか。私はテレビ番組の中でも、特にバラエティーが好きです。バラエティーの人ほどクレバーだと思えますし、厳しい状況の中でいろいろ考えて緻密に作っているからです。ですから今回バラエティ番組部門でこういう賞をいただくことができて本当に嬉しいんです。

■ ――最後に「ザ・カセットテープ・ミュージック」ファンに向けて一言どうぞ!

今まで以上にマッドなことを続けていこうと思いますので、これからも2人のおじさんについて来てください(笑)。

(ザテレビジョン)

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