ディーン・フジオカ「東日本大震災とスマトラ沖地震について、僕が考えたこと」

6/1(金) 17:00配信

 公開中の映画「海を駆ける」(深田晃司監督)の主演をつとめたディーン・フジオカ。日本とインドネシアの共同制作である本映画をどのように受け止めたのか。インタビューの後編。

【写真】映画「海を駆ける」(日本・インドネシアの共同制作、深田晃司監督)より

※「ディーン・フジオカ 日本とインドネシア、この企画が成立するならそこにいたい」 より続く

ディーン・フジオカ演じる謎の男・ラウは、ある日海岸に流れ着き、保護される。次々と不思議な現象を巻き起こすラウの力に目を付けたTVプロデューサーが、会見をさせるのだが…… 『海を駆ける』 配給:日活 東京テアトル ©2018 "The Man from the Sea" FILM PARTNERS

一人芝居をしている感触があった

――演出がそうとう細かかったということですが、具体的にどのような演出だったのでしょうか。

ディーン 細かいといっても、こういうフレームがあるからそこに無理やり体を合わせていくという感じではないんですよ。存在のあり方みたいな部分への演出と言ったらいいのかな。声のボリュームや歩き方についても細かい指示はありましたが、だからといって、手がこっち、足がこっち、みたいな秤で量るような指示ではない。そこはむしろ、こちらが力を発揮できる余地を与えてもらえた気がします。監督のなかでは、ラウという存在についてはっきりとしたイメージがもともとあったと思うんです。それを説明してもらい、僕が実際にやってみる。その様子を監督が見て、「なるほど、実際の肉体を通すとそういうふうになるんだ」と確かめ、「じゃあこうやってみたらどうなるか」とまた別のことを試してみる。そういう細かい調整を、リハーサルでずいぶんやりました。自分でも、どこかアートインスタレーションのような、一人芝居をしている感触がありました。

 セリフの読み方に関しても、最初のリハーサルの時の印象が強くて。同じ意味を違う言語でしゃべった場合どういうふうに変わるか、みたいなことを何度も試していました。脚本上では英語になっているセリフをあえて1回日本語で読ませる、そのうえでもう1度英語で読ませて、どちらの言語を使うか考えたり。スイッチングというんでしょうか。たくさんのデータをサンプルし、それらを監督のなかでまた分析していくような不思議なリハーサルでした。

自然の力を借りて魅力につなげる

――そういうくりかえしの演出というのは、実際の撮影でも行われたのでしょうか。

ディーン 何回か撮影しましたね。これは一発しかできないと言っていたのに、いざやってみると「やっぱりもう1回だけやってみましょう」と言われたり。その日の状況で、光の具合やカメラのアングルも変わるし、「こう見えるんだったら、演技もこういうふうに変えたほうがいいかもしれない」とか、リハーサルでやったことを現場でまた何度も微調整する、そういうプロセスを黙々と続けていきました。イスラム圏での撮影でしたから、毎日定時になるとアザーンという礼拝を呼びかける声が町中に響くんですが、その間は撮影も中止するんです。それでアザーンが終わって再開したら、そこでもまた少し調整する。

 この映画は、セットなどは使わずほぼすべて自然と一緒に撮っているわけで、そういうときは抗ってもしょうがないというか、自然を理解してその力を借りるかたちで作品の表現の魅力につなげていかないといけないんですよね。まわりの環境条件も含めて緻密なプランニングのもとで撮影していたし、そこに、僕たちの演技が左右されてくる部分もあったと思います。つまり、その世界の中でみんなが生きている、ということですよね。1回目の後、2回目、3回目とくりかえしても、もしかしたら1回目を超えることはできないかもしれない。でも2回目、3回目だからこそできたテイクもあったりする。常に状況は変わっていくわけで。僕たちはいまみんなで一緒にひとつの映画をつくっているんだ、という感覚、そのライブ感がとても強い現場でした。

――そうやって何度か撮り直す際には、脚本のセリフそのものを変えてしまうこともあったのでしょうか。

ディーン あったと思います。対話のなかで自然に言える言葉が見つかればどんどん直されていました。アチェ語やインドネシア語のセリフなんかは、現地クルーのアドバイスもあったし。だからそこら辺のリアリティはしっかりしていると思います。決してインドネシアのことを知らない人たちが勘違いでつくった表現にはなっていない。でも一方でどこかサーリアルな感じもある。そのバランスがまたおもしろいですよね。

次ページは:こんなにタメていいのかな

1/4ページ

【関連記事】

  • ディーン・フジオカ「『この企画を考えた人たちは狂ってるな』思いました(笑)」
  • 女優・波瑠にチャンス テレ朝刑事ものの後継者となれるか
  • 民放ドラマがNHK朝ドラに影響されすぎじゃないか問題
  • 今年の「主役」は高橋一生か、竹内涼真か? テレビっ子会議2017【ドラマ編】
  • イケメンが八の字眉に? ディーン・フジオカの気取らぬ魅力――近田春夫の考えるヒット