miwaの新曲を聴いて考えた「プロデューサー」というお仕事――近田春夫の考えるヒット

5/30(水) 7:00配信

『アップデート』(miwa)/『ストロー』(aiko)

 一口にプロデューサーなどと申しますが……。

 俺が小学生の頃、まだそうした呼び名は一般に浸透してはいなかったと思う。例えば、放送局や映画会社に代表される、いささかヤクザなもとい柔らかなフィーリングが必要な業種において、名刺に、役職/肩書きとして刷られていたぐらいのところが関の山で、それがどんなことをする人たちなのか、60年代前半までは誰も訳がよくわからなかったのではないか。

 日本で初めて自ら職業プロデューサーを名乗り売り出したのは浜野安宏だったと記憶する。が、それは音楽の世界とはあまり直接には関係のない話である。

 我々が音楽のプロデューサーというものを意識し出したのは、やはりビートルズからだろう。いってみれば一裏方ともいえるポジションの人の名前など、彼らをスターダムに押し上げたジョージ・マーチンより前には、誰も興味も持たなかった。そのマネージメントで名を馳せたブライアン・エプスタインにしてもしかり。そんなものだ。

 そのジョージ・マーチンだが、後々伝え聞くところによれば、結構音楽的な雑用係みたいな立場だったようである。ひらったくいえば、ビートルズ本人たちの持つ音像のイメージを具体的な譜面に起こしたりといった役目だろうか。クラシック的素養/アカデミックな知識が求められるストリングスやホーンを必要とするアレンジにて、ことに本領を発揮していたみたいである。

 今、J-pop界を見渡してプロデュースというと、述べてきたような、本人に代わって専門的な部分で手助けをするのと、アイドル関係によく見られがちな、予算等含め全体の差配を請け負う形で納品するスタイルがあるようである。

 今週取り上げるmiwaのプロデューサーNAOKI-Tは前者すなわちジョージ・マーチンの系譜な感じネ。デビューからずーっと彼女のプロデューサーを務めているそうで、この『アップデート』でも詞曲に名を連ね、編曲も手掛けている。

 毎度、こうした共作クレジットを見て思うのは、両者の仕事の割り振りのことである。それこそ、先に話の出たビートルズのジョンとポールも、一体どのようにふたりで一曲にまとめていたのか? まだ情報のないころ、なかなか作業の想像がつかなかった。

 おっと、いくらなんでもそろそろ本題に入らねば……。さて曲を耳にし、まず思ったのが、俺にゃ難しすぎて覚えらんねぇよォ! であった。

 今時の若いリスナーって、やっぱ我々の世代とは、何か音楽的読解力のレベルが違うのかも知んないなと、そんな気にもさせられたのだったが、それはそうとこのご両人の現場のイメージである。俺には、生徒に添削する先生って景色なのね。うん。なんとなく。

 aiko。

 同じコトバの繰り返し部分。心地よいミニマルというより、なんかくどいだけな気も……しないでもない。

近田 春夫

【関連記事】

  • パピロジェとYamakatsuを聴きつつ、アイドルの未来を考えた――近田春夫の考えるヒット
  • 荒井、松任谷、呉田軽穂……ユーミンブランドを高めた“名前”の話――近田春夫の考えるヒット
  • 離婚した“宇多田ヒカル”が惚れ込んだ8歳下の“若手アーティスト”
  • 初音ミク誕生から10年 “生みの親”が語る「狭く売るビジネスモデル」
  • 竹宮ゆゆこ×渡會将士 小説と音楽。僕らを結びつけた偶然の連続
ヒット