『FINAL CUT』Pが語る、俳優・亀梨和也の魅力

 亀梨和也が初の復讐劇に挑む、関西テレビ・フジテレビ系ドラマ『FINAL CUT』。物語はクライマックスに向けて、大きなうねりを見せている。プロデューサーの豊福陽子氏に、テレビ業界の陰を描こうと思った経緯や、“絶妙”と言われているキャスティング秘話などについて聞いた。

【写真】栗山千明、橋本環奈らキャストたち

◆同業者からの反発される可能性も、手がけるうえで不安もあった

 本作は、12年前に母親を死に追いやったテレビ情報番組のスタッフたちに対し、人生に致命的なダメージを与える「真実の映像(=ファイナルカット)」を突きつけ、復讐を果たしていく男の姿を描いた物語。視聴率や射幸心を求めるあまり、非人道的なこともいとわないテレビ業界の陰にスポットを当てた作品となっている。

 企画骨子について豊福氏は、「今の世の中、発信する側にとって悪意がないと思っていることでも、受け止められ方によっては非常に大きな影響を与えてしまうことは多い。場合によっては人の人生までをも変えてしまいます。現代では、SNS 等の普及でメディアだけでなく一個人も指先1つで“加害者”側になる可能性があります。その危うさに改めて注目してもらえたらと思いました。雑誌やSNS をフックにすることもできますが、自分がテレビという業界に身を置きながら別の媒体のことを描くことに抵抗もあり、報道する立場として改めてその影響力の大きさを考える必要があると思い企画しました」と語る。

 際どいテレビ業界の闇を描いた作品ゆえ、放送前は同業者から反発を受けるのでは?と不安もあったというが、「放送が始まって以降、今現在は同業の方からの批判の声は届いていません。沈黙しているだけかもしれませんが…。肌感覚ですが、このドラマの意図するところを思ったより受容していただけているような気がします」と、予想外の展開に驚きを見せる。

 また、「俳優の皆さんもこうした作品に出演するのには二の足を踏むかもしれない」とキャスティングの難航も予測していたというが、実際にはこちらもオファーしたほぼすべての人が企画に賛同してくれたという。

◆座長・亀梨に絶大な信頼寄せる

 主演の選出は、企画が動き出した段階で脚本家の金子ありさ氏と相談を重ね、「今まで光を当ててこなかった部分に切り込む物語なので、現状に安座することなく、常に冒険心があり、それでいてしっかりと時代を見据えることができるほうがいい」と人物像をあぶり出していき、頭に浮かんだのが亀梨和也だった。豊福氏は以前から、「ステージで魅せる華やかな色気や強さと、バラエティ番組等で垣間見える繊細で陰のある感じがとても魅力的で、“嬉しいけど少し悲しい”といった、複雑で幅広い感情表現のできる俳優だと思っていた」と表現者として高く評価しており、また、情報番組等での立ち居振る舞いから、時代性やけん引力もあると判断し声をかけた。

 慶介を演じる亀梨は、復讐をするにあたり警察官やサイトの管理人、また、栗山千明と橋本環奈演じる姉妹の前に全くの別人として登場するなど、物語の中でさまざまな人物を演じ分ける役どころ。そんな難役をこなす亀梨を豊福氏は、「自分で計算をして、絶妙な加減で演じ分けているのが本当にすごい」と称賛。また現場では、「さりげなくいろいろな人に話しかけている」といい、座長としての彼にも信頼を寄せる。

 豊福氏といえば、これまでに『チーム・バチスタ』シリーズや『僕のヤバイ妻』など、話題作を数多く手がけているが、「当たり前のことですが、自分の中でしっかりとテーマを持つことから企画をスタートさせます。もちろん枝葉は広がっていきますが、あくまで一本筋の通ったテーマを3ヶ月にわたって伝えていくこと」が、モノ作りをするうえでは、シンプルながらももっとも大切なことだと力説する。

 視聴者の生活様式が大きく変わってきているなか、ドラマが始まるからテレビの前に集まるということは、今の時代では稀有なことなのかもしれないが、豊福氏は「それでも『あのドラマがあるから早く家に帰ろう』とか、『リアルタイムで観たい』と思ってもらえるようなドラマ作りを目指したい」と熱い思いを語ってくれた。

文/磯部正和

(『コンフィデンス』 18年2月26日号掲載) </span>

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