「リピート―」出演中の猪野広樹、「ゆがんだ役にやりごたえある」

ハイパープロダクション演劇「ハイキュー!!」(菅原孝支役)、舞台『刀剣乱舞』義伝 暁の独眼竜(大倶利伽羅役)、ミュージカル『薄桜鬼』(永倉新八役)など2.5次元舞台で活躍する一方、昨年は連続ドラマ「スター☆コンチェルト」(瑛倉ヒロキ)で連ドラ初主演を果たすなど、輝かしい躍進を見せている猪野。現在はドラマ「リピート 〜運命を変える10か月〜」に出演中だ。

【写真を見る】撮影現場は刺激的!/撮影=山下隼

本作はたまたま選ばれた8人が、10か月前の過去に戻り人生の選択をやり直すというタイムリープもの。しかし運命を変えようとそれぞれは奮闘するも、次々に悲劇に襲われていく…。シリアスな展開が続くストーリーだが、その現場は? リピート前後でまったく違う性格を演じた猪野に、収録時のエピソード、さらに彼自身の素顔にも迫ってきました!

──猪野さん演じる坪井要はかなりクセのある役柄ですが、猪野さんはどう捉えていますか?

「坪井は、もとは東大を二浪した予備校生。いい家の育ちで、親からは『東大、東大!』と言われ続け、東大に入るために“リピート”に参加するんです。リピートした世界では無事に東大に入れましたが、それまで親や周囲から圧をかけられてきたため、ゆがんだ意識を持っていて(笑)。自分がされてきたことを人にもしちゃうような、どうしようもないところもあるんですけど、やりごたえのある役。演じていて楽しいです」

──「リピート―」の撮影現場の空気はどんな感じですか?

「演技はもちろん、人柄も素晴らしい方々に囲まれて刺激的。学ぶことがたくさんあります。貫地谷しほりさんが、“ザ・元気”みたいな明るいかたで、ドラマの役とはまた違った雰囲気なんです。先輩ばかりで緊張していたときに、貫地谷さんに後ろから驚かされて『ビックリした!?』って(笑)。なんていう距離の縮め方をされるかたなんだろうって。驚きつつも場が和みました(笑)」

──共演者には、事務所の先輩である本郷奏多さんもいらっしゃいます。お話はよくされています?

「奏多さんが出演した舞台を見にいかせてもらったことがあって、そのときにご挨拶させてもらったんですけど、共演は今回が初めてで。最初は緊張しましたが、いまでは共通の趣味であるゲームの話をさせてもらってます(笑)。2人ともゲーマーなんです。話題のゲームを“買う? 買わない?”みたいな話をしました。仕事を忘れてドハマりしてしまいそうなので、購入するかは迷いどころ(笑)」

──「リピート―」では、ほかにも多彩な共演者さんがたくさんいらっしゃいますね。

「そうなんです。ゴリさん(ガレッジセール)、六角精児さんとか。特にそのお二人はすごいセリフ量なんですが、完璧にセリフを入れていて。セリフを覚えることは、当たり前と言えば当たり前ですけど、並行していろいろな種類のお仕事をされている中で、あれだけの量を覚えることは大変じゃないのかな〜と。以前、六角さんと福田転球さんと飲みに行く機会があったんですが、六角さんに『いつ台本を覚えているんですか?』って聞いてみたんです。そしたら『舞台出身だから、だいぶ前から準備しないと覚えられない』と話されていて、こんなにベテランのかたでもと驚きました。それを聞けたことが、自分のなかですごく大きかったです。自分ももっと頑張らなきゃなと」

──役者さんの台本を覚える集中力って本当にすごいですよね。

「いや〜…本当にすごいですよね!(笑)」

──猪野さんもです(笑)。猪野さんはどのように台本を覚えているんですか?

「僕は書いて覚えるんです。ゴリさんは自分で喋って録音して、それを移動中に聞いて覚えているそうなんですが、僕はセリフをひたすらペンで書く。大学の受験勉強も全部ペンで書いて覚えていたんです。それも関係しているのかもしれませんね」

──猪野さんご自身はどんな大学生だったんですか?

「大学では静かに生きてました(笑)。中高一貫校に通っていたので、それまでの友達付き合いが濃かった反動もあり、新入生歓迎会でほんの数時間しか話してなかった同級生に 「今度遊びにいこうよ!」って突然言われて、「え? 早くない?」って(笑)。『1、2時間しか喋ってないのに、友達なの?』って思ってしまったんですね…(笑)。当時は尖っていたのかも(笑)」

──そのころから本格的に舞台で活躍されていましたが、もともと役者に興味が?

「正直、最初はなかったです。でも2012年の初舞台『PRIDE』で、カーテンコールのときに客席にいるかたが喜んでいたり、切ない表情を浮かべているのを見て、思わず泣いてしまったんです。自分たちで作り上げた2時間弱。それがこんな風に人に何かを感じさせることができるんだって…それからですね。その後も壁にぶつかるたびに、演技に対する本気度が上がっていきました」

──“壁”というのは具体的には?

「演劇「ハイキュー‼」に初めて出たときに、自分が持っているメソッドじゃ通用しないなと。今までの舞台では動かなかったところでも、「ハイキュー‼」では常に全員が動いているんです。最初は戸惑いもありましたけど、稽古映像を見たときに“演出家はこうやって見せたかったんだ!”って。先入観みたいなものがパンってはじけるたびに、壁を乗り越えられてきたような気がします」

──今はどうですか?

「楽しいです! でも純粋に楽しいと思えるようになったのは最近。それこそ10カ月前くらいまでは悩んでいたかもしれない。それまでは楽しんじゃいけない、自分に負荷をかけないといけないって思っていたんですよ」

──そうやって自分を追い込むことで、奮い立たせていたということですか? でも精神的にはかなりつらいですよね。

「かなり(笑)。でもある日 “もっと自由にやっていいんだ!”って思えたんです。そしたら去年の秋の「ハイキュー‼」(進化の夏)の大阪公演のときに、演出家のウォーリー木下さんに、『演劇を楽しんでる!』って言われて、すごく嬉しかったです。周りにも気づいてもらえるくらい変わったんだなって思いました」

──では「10カ月前にリピートできますよ」と言われても?

「絶対戻りたくないです(笑)。 10か月前は「ハイキュー!!」が終わって『刀剣乱舞』に差し掛かるくらいの時期だと思うんです。2作品とも、体力がすごく必要な舞台で(笑)。「ハイキュー!!」に関しては、プロジェクション・マッピングを作るので、先に役者が土台を作らなければいけないんです。だから稽古も3時間走りっぱなしで、基本的にぶっ通し。『刀剣乱舞』も後半は殺陣の連続。あの2作品を経験したから、『俺、大丈夫!』って自信を持てたところもあります。なので、僕自身は10カ月前に“リピート”はしたくありません!(笑)」

──舞台の場で得たことが、「リピート―」の演技にも活きましたか?

「そうですね。舞台上にいるときは、同世代の俳優に囲まれて切磋琢磨しているので、マウントの取り合いのような感じ。映像作品でも、先輩方相手であっても、 “挑戦しよう”と思って臨んでいます。なので『リピート』でも、そうそうたるメンバーに緊張しながらも、挑戦はしました。ボコボコにされて帰ってきますけど(笑)」

──ドラマの合間には、舞台「おおきく振りかぶって」があって(2月2日〜12日まで上演)、3月には舞台『弱虫ペダル』の公演も控えます。猪野さんはスポーツモノの舞台に出演されることが多いですよね?

「身体を動かすことは基本的に好きなんですが、体力勝負ですよね。ただ『おおきく振りかぶって』はそこまで動きは多くなくて、(プロジェクト)マッピングもありませんし。昔ながらの劇団のやり方で勝負する感じといいますか。それも楽しいです」

―─今後、役として挑戦されたいことはありますか?

「身体を動かすことは好きで、最近はもっと殺陣をやりたいなと思っています。以前、早乙女友貴くんと共演したときに、“とんでもないな”って思ったんです。あのレベルまでいきたい、特技の欄に“殺陣”って書けるくらいまでにしたいなって思ってます!」

■スタイリスト=吉田ナオキ/ヘア&メーク=中島愛貴(raftel)/衣装協力=Shinya yamaguchi、ILL IT、プリマクレール・アタッシュプレス(ザテレビジョン・取材・文=逆井マリ)

Let's block ads! (Why?)

リピート