1位「海月姫」は100点満点! 「冬ドラマ満足度ベスト10」木村隆志編

話題作ぞろいの1月クールの連続ドラマで、本当に満足度が高いのはどの作品なのか? テレビ・ドラマ解説者の木村隆志氏に採点を依頼、ベストテン(※)をコメントと共にカウントダウン形式で発表する。

【写真を見る】「電影少女―」について「全ては西野(七瀬)さん次第」と木村/(C)「電影少女2018」製作委員会

対象作品=2018年1月期の地上波ドラマで、1月18日夜11時59分までにスタートし、1月27日以降の放送がある全国ネットの作品。「西郷どん」(NHK総合ほか)と「越路吹雪物語」(テレビ朝日系ほか)は放送期間、回数が異なるため対象外。

※同点により13作品を掲載。

■ 10位(60点)「もみ消して冬―」「トドメの接吻」「きみが心に棲みついた」「隣の家族は青く見える」

「もみ消して冬 〜わが家の問題なかったことに〜」(毎週土曜夜10:00-10:54、日本テレビ系)…警察官、弁護士、医者と“連続ドラマ3大職業”を集めた何げにハイブリッドな設定。序盤はエリート一家と各職業の設定を生かし切れず、コメディーとしての笑いは控えめ。3人がまだ役をつかみ切れていない印象なのは、仕事のシーンが少ないからか。

「トドメの接吻」(毎週日曜夜10:30-11:25、日本テレビ系)…ホスト、資産家、謎のキス女などの明確な対比、艶っぽいキスとタイムリープが繰り返されるぶっ飛んだ展開。いずれも若年層を思い切り意識した野心作だけに、どこまで攻め続けられるのか。旬の若手俳優たちを見るだけでも価値あり。

「きみが心に棲みついた」(毎週火曜夜10:00-10:54、TBS系)…シンデレラストーリーなのか、トラウマからの脱出なのか、戸惑う人が多そうな設定。成否のポイントは、体当たりの演技で挑む吉岡(里帆)さんを応援したくなるか。星名(向井理)の分かりやすいホラーは、「あなたのことはそれほど」(2017年、TBS系)の涼太(東出昌大)のサイコと比べるとパンチ弱め。

「隣の家族は青く見える」(毎週木曜夜10:00-10:54、フジ系)…妊活、未婚、同性、失業中とカップルの形を分散させ、コーポラティブハウスでの化学反応狙い。時代の流れを汲んで多様性を尊重した内容になりそうですが、やはり成否の鍵は不妊治療のディテール。踏み込んだシビアなシーンが必要でしょう。

■ 5位(70点)「電影少女―」「99.9―」「FINAL CUT」「BG〜身辺警護人〜」「アンナチュラル」

土曜ドラマ24「電影少女 -VIDEO GIRL AI 2018-」(毎週土曜夜0:20-0:50ほか、テレビ東京系ほか)…「なぜ今?」という声への答えは、関和亮監督らしいファンタジックな映像美に表れていました。成否の鍵はキュートからセクシーまで、アイをどれだけ魅力的に見せられるか。周囲の芝居は安定感があるだけに、全ては西野(七瀬)さん次第。

「99.9-刑事専門弁護士- SEASON II」(毎週日曜夜9:00-9:54、TBS系)…クセの強い演出は健在。キャラの掛け合いを重視している分、犯行動機や手段などを省くなど事件解決はあっさりに。小刻みなカット割り、深山(松本潤)の仕草、ダジャレは、好き嫌いが分かれて当然でしょう。裁判官を悪として描くのか気になります。

「FINAL CUT」(毎週火曜夜9:00-9:54、フジ系)…いかにもカンテレ制作らしいリベンジもので品質保証はバッチリ。“テレビ業界の闇を描く”身を切るような展開と、“ファイナルカット”の映像で、ストレスと爽快感のメリハリも効いています。終盤に盛り上がれば亀梨(和也)さんの代表作になるかも。

「BG〜身辺警護人〜」(毎週木曜夜9:00-9:54、テレビ朝日系)…“武器を持たない民間ボディーガード vs. 拳銃を持つ警視庁SP”の明快な図式は現代向き。ハードボイルドな世界観だけに、事件をどこまでスリリングに描けるか。同じテーマで昨年放送された「4号警備」(NHK総合)のアクションシーンを超えたい。

「アンナチュラル」(毎週金曜夜10:00-10:54、TBS系)…スタッフ、キャストともに、期待値は間違いなく高いのですが、初回は正直肩透かし。1話完結にこだわり、毎回終盤のどんでん返しに頼ると、予定調和の印象を招き、マンネリの懸念も。野木亜紀子さんらしい人間ドラマを重視した脚本を期待。

■ 3位(80点)「anone」「オー・マイ・ジャンプ!―」

「anone」(毎週水曜夜10:00-11:00、日本テレビ系)…抑制の効いた世界観とドキュメンタリーのような映像は、このチームならでは。各キャラに謎が多く、それが明かされる段階で強烈なセリフが飛び交う演技合戦が見られそう。田中さんら名優たちに包まれて、広瀬さんの才能が覚醒の予感。

ドラマ24 第50弾特別企画「オー・マイ・ジャンプ!〜少年ジャンプが地球を救う〜」(毎週金曜夜0:12-0:52ほか、テレビ東京系)…名作のセリフとコスプレをちりばめた構成は、プロデュース・浅野太、脚本・根本ノンジ、演出・三木康一郎ら深夜ドラマ界のエースたちによるもの。幅広い年齢の男性たちをニヤッとさせ続け、終盤はよりスケール大のヒーローが見られるはず。

■ 2位(90点) 「リピート〜運命を変える10か月〜」

「リピート〜運命を変える10か月〜」(毎週木曜夜11:59-0:54、日本テレビ系)…「これもタイムリープか」と思ってしまいましたが、ディテールのこだわりで不思議なリアリティーが。メインの3人を筆頭にそれぞれの物語があり、ミステリー&サスペンスの要素も十分。貫地谷(しほり)さんのシリアスな演技はひさびさで見応えあり。

■ 1位(100点)「海月姫」

「海月姫」(毎週月曜夜9:00-9:54、フジ系)…石川淳一監督の変幻自在な演出がさく裂。笑いと感動のバランスが良く、初回から王道のラブストーリーもしっかり。キャストは回を追うごとに役が憑依し、終盤には上質な喜劇舞台のようになるかも。視聴率とは無関係のティーン層を開拓しそう。

■ 「anone」紙野彦星役の清水尋也が気になる!

初回は声だけの出演ながら、優しさとはかなさを感じさせるキャラクターで視聴者の心をグッとつかみました。映画畑で鍛えられた演技力は本物であり、「電影少女―」にも出演中だけに振り幅を見せてくれそうです。

■ 総評 主演俳優が若返り! 思い切りの良い演技に注目

このところ高齢化していた主演俳優の顔触れが大幅に若返り、多くの作品から勢いを感じます。なかでも最注目は「海月姫」。芳根京子さんを筆頭に、“尼〜ず”のメンバー、鯉淵兄弟まで、若手俳優たちが思い切った演技を披露して魅力的なキャラを作り上げています。石川淳一監督のポップな演出に加えて、“三角関係とシンデレラストーリー”という恋愛ドラマど真ん中のベースもあるだけに、“月9”らしく若年層を引き付けそう。

作品としてのクオリティーが高いのは、「anone」と「リピート―」。共に緻密な脚本と演出で、シリアスな世界観に真っ向から挑み、連ドラらしい謎や恐怖を散りばめるなど、次回への興味を抱かせてくれます。

その他で要注目は、深夜ドラマのトップスタッフがそろった「オー・マイ・ジャンプ!―」。どこまで遊び心を爆発させてくれるのか、暑苦しさとおバカを貫いてくれるのか、期待しています。

【Profile】木村隆志…各媒体に月20本超のコラムを提供し、「新・週刊フジテレビ批評」(フジ)などにもコメンテーターとして出演。(ザテレビジョン)

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