【映画「ミックス。」連載】監督・石川淳一「“テレビの力を見せてやろう”という気持ちで臨みました」

卓球の男女混合(ミックス)ダブルスを題材に、欠点だらけの不器用な登場人物たちが成長していく姿を描く映画「ミックス。」(公開中)。キャスト&スタッフによるリレー・インタビュー連載の第9回は、石川淳一監督が登場! ドラマ「リーガルハイ」シリーズ(2012年ほかフジ系)、「デート〜恋とはどんなものかしら〜」(2015年フジ系)、そして石川監督にとって映画デビュー作となった「エイプリルフールズ」(2015年)に続いて、人気脚本家・古沢良太氏との強力タッグでおくる本作について、製作秘話や見どころを明かしてくれた。

映画「ピンポン」(2002年)の撮影も手掛けた佐光朗の巧みなカメラワークにより、卓球の試合の手に汗握る臨場感を再現!/(C)2017『ミックス。』製作委員会

――最新作「ミックス。」は、今、注目を集める卓球の男女混合ダブルスが題材ですね。

この企画がスタートしたときも、撮影しているときも、まだ今ほど話題になっていなかったんですが、気付いたら金メダルを獲っていた、という(※「2017世界卓球選手権ドイツ大会」で石川佳純&吉村真晴ペアが48年ぶりとなる金メダルを獲得した)。“(運を)持ってる映画”だと思いましたね(笑)。

最初、卓球という題材は難しいかなと思ってたんです。ところが触れ合ってみると、非常に楽しいスポーツで。ただ、クランクインの時点では、出演者の方々は既に卓球について勉強されていて、しっかり練習もしている状態だったので、正直、現場にいる人間の中で僕が一番卓球に詳しくない、みたいな状況だったんですよ(笑)。それだけに、自分も興味を持って知れば知るほど、「もうちょっとこういうこともできたんじゃないか」とか、「次はこんなことをしてみたい」とか、作品が出来上がってから思うところがいろいろあって。ドラマでも映画でも、形はどうあれ、もう一回くらい卓球ものにチャレンジしてみたいなという思いはありますね。

――とはいえ、卓球の試合のシーンのスピード感は手に汗握るものがありました。撮影する上で、どのようなこだわりが?

試合のシーンに関しては、実は僕も探り探りで(笑)。分かりやすく言うと、コートの全体像を撮るか、2対2で試合している、そのどちらかの2人を撮るか、そのくらいしかパターンがないんですよ。そんな単調な画の連続だと、お客さんも飽きてしまう。だから今回、すごく悩んだんですが、カメラマンの佐光朗さんが「ピンポン」(2002年)も手掛けた方で、非常に動きのある画を撮ってくれたんですね。あれから15年くらい経っているし、「ピンポン」とは違ってダブルスの試合だし、この作品だからできることがあるはずだということで、いろんなカメラワークを見せてくれて。佐光さんのおかげで、試合のシーンはかなり迫力のあるものになったと思います。

――出演者の方々は卓球の特訓をされたとのことですが、卓球指導のスタッフが、蒼井優さんの素質を絶賛されていたそうですね。

蒼井さんはこの役が決まったとき以来、相当熱心に研究されたみたいで。練習が始まる前から卓球の映像を見まくって、イメージを作り上げていたそうです。そんな万全の状態だから、最初の練習のときからフォームも完璧で。女優魂を感じましたね。

■ 「『デート』とはまた違った形の恋愛ドラマになったと思います」

――また、恋愛ドラマとしても楽しめる作品ですよね。

ありがとうございます。実は脚本の初稿の段階では、もう少しコメディー要素が強くて、“熱血スポ根ラブコメ”みたいな感じだったんですよ。そこから稿を重ねる中で、ラブの要素がもう少し色濃くなっていって、最終的に今の“ロマンティック・コメディー”というバランスになりました。「デート」とはまた違った形の恋愛ドラマになったんじゃないかと思っています。

――直截的ではなくても、素敵なラブシーンが満載で。脚本の古沢良太さんは“放水”のシーンがお好きだとおっしゃっていましたが、石川監督のお気に入りのシーンはありますか?

放水のシーンは、いわば“みんなで幸せな空間を作るんだ”というコンセプトなので、場合によっては、ちょっと気恥ずかしいシーンになってしまうんじゃないかという危惧もあったんです。でも、実際は全くの杞憂でした。新垣結衣さんと瑛太さんが演じると、とても自然で。あの2人が醸し出す空気感だからこそのシーンになっていると思いますね。

僕が気に入っているシーンは…、多満子(新垣)と萩原(瑛太)の2人が、江島(瀬戸康史)が練習している姿を見て打ちひしがれて、居酒屋に行って、いろいろあって…という流れがありますよね。僕はその先の2人のシーンが好きなんです。お互いをあまり好意的に思っていなかった2人が、ふっと心を通わせる、あの感じがいいんですよね。このシーンも2人の空気感だからこそ、だと思います。特に、萩原というキャラクターは、とらえどころが難しいと思うんですけど、瑛太さんが見事に演じてくれましたね。

――これまで、テレビドラマも多数手掛けてきた石川監督ですが、テレビドラマと映画と、作品への向き合い方に違いはあるのでしょうか?

僕はもともと映画が好きで、日活芸術学院という映画学校からこの世界に入ったんですね。大林宣彦監督の作品のような、ああいうちょっとファンタジー的な映画が作りたかった。ですから、まず前提として、テレビの人間が映画を撮らせてもらえるだけでラッキー、という感じがあって(笑)。とはいえ、テレビドラマを25年以上作ってきた経験は、間違いなく僕の財産だと思っているので、今回の「ミックス。」は、映画を撮るというよりは、“テレビの力を見せてやろう”という気持ちで臨みました。「エイプリルフールズ」のときは、スタッフがドラマの「リーガルハイ」と同じ布陣だったので、あえて映画を撮ることを意識するように努めたんですが、「ミックス。」は映画畑のスタッフが多かったんです。だから今度は逆に、テレビドラマで培ってきたものを活かしてみようと。そもそも、スタッフの半分以上が映画畑の方々なので、どういう撮り方をしようが立派な映画になると僕は思ってるんですけど(笑)。

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